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ハイライトでつづる図書館の歩み


大阪市立図書館の最近の歩みを、大阪市立図書館年報の「ハイライトこの1年」等の記事を再構成して振り返ります。
 

昭和62年(1987)


【福島図書館開館】(5月)

  • 23番目の図書館として開館し、区民センター・スポーツセンターとの併設で、規模・サービスは既設の地域図書館とほぼ同じ、21,000冊の蔵書でオープンした。1区1館構想は、残すところあと1館(中央区)のみとなった。

【カセットテープ事業始まる(天王寺図書館)】

  • 天王寺図書館では、昭和60年4月に移転・開館以来、「試行」としてカセットテープの貸出事業を実施してきたが、3年目にして正規の図書館事業と位置づけられた。新規事業ということで、ラジオ取材など大きな反響を呼び、児童からお年寄りまで幅広い層に利用された。カセット1本あたりの年間平均貸出回数は、16~17倍で、常に7~8割が貸出中の状態で、7月中旬より予約(リザーブ)の受付を開始した。所蔵数は昭和62年度中に2,000本を達成した。 

    →平成23年3月末現在のカセットの所蔵館は中央、天王寺、東淀川の3館。中央では、約2500点所蔵し、障害者サービス用に多く活用されている。
 

昭和63年(1988)


【花と緑の図書コーナー設置(全館)】

  • 平成2年に鶴見緑地で開催される“国際花と緑の博覧会”の主旨に沿い、全市立図書館に“花と緑の図書コーナー”を設置した。コーナーには、庭園・園芸・華道など生活文化に関わる資料をはじめ、植物学、農業・林業など学術・産業分野、緑地計画・都市景観といった生活環境分野にわたる広い範囲の資料を置くこととした。花博のシンボルマーク“花ずきんちゃん”をあしらったコーナー表示を掲げて利用者の目につきやすいように工夫した。とりわけ、中央図書館と花博開催地にある鶴見図書館には力を入れ、他館に比して3~5倍の予算を充当し、コーナーの充実を図った。

    →鶴見図書館では、現在でも植物に関する本の収集に力を入れ、「花と緑の図書コーナー」を設けている。

【教科書センター移管される】(6月)

  • 新たに改定される教科書の適正な採択をしてもらうため、見本を展示する教科書センターが市内8か所に設置されている。ところが、これまで小・中学校の片隅にひっそり置かれていたため、利用が非常に少なく、先生方はまだしも市民が気軽に見ることはできなかった。そこで、社会教育施設の中でも最も市民とのかかわりの強い図書館に移管することになった。学校とちがい、土曜日の午後も日曜日も開いている図書館であれば、忙しい先生でも勤務時間外に自由に閲覧できるし、市民の利用が新たに望めるということが理由である。8ブロック内での移転は次の通り。(1)済美小→福島図◎、(2)今市中→城東図、(3)本田小→中央図◎、(4)十三中→淀川、(5)生野小→生野図、(6)白鷺中→平野図、(7)岸里小→住吉、(8)大江小→浪速図◎ (◎印は小・中・高、あとは小・中のみ)

    →平成23年現在、(2)城東→旭、(4)淀川→西淀川、(8)浪速→阿倍野に変更されている。教科書展示会の期間(毎年6~7月頃)以外は、教科書を借りることができる。
 

平成元年(1989)


【韓国・朝鮮図書コーナーの試み(生野図書館)】(6月)

  • 『図書館年鑑』1989(平成元)年版に多文化サービスの実践例として、いちはやく紹介されたこのコーナーは、1986(昭和61)年に開設。設置するにあたり、まず、在日韓国・朝鮮人の実情を知ろうと、関連施設を職員で分担し、訪問した。設置後は、利用者の反応をできるだけ記録するとともに、日常業務の中でコミュニケションを図るように努めた。これは、地域住民のニーズを知り、資料収集に反映させようとの試みであった。反応はすでに150件を記録。ハングルの小説も備えて欲しいという声に、さっそく応えてみると、予想外の利用状況となった。ハングル資料は、児童・成人書あわせて150冊程と新聞2紙を所蔵。
    多文化サービスは、当然その国の言語を扱う。資料の収集と整理、サービスには、母言語がわかる職員が必要であり、会話のやりとりをせねばならない状況もできており、今後の課題となろう。

    →この多文化サービスは、広く注目され見学が相次いだ。その後、新中央図書館1階の広いスペースでの外国資料コーナーの設置、地域館での外国語図書収集などにつながっていく。

【島之内図書館開館(ビデオ貸出事業開始)】(9月)

  • 島之内図書館は、地下鉄堺筋線長堀橋駅に近いビジネス街の恵まれた場所に位置している。建物は地上5階・地下1階の茶色の落ち着いた外観を持ち、“地球讃歌”と題したステンドグラスを正面に配した明るい内装の図書館はその3階にある。中央会館(1・2F)、中央スポーツセンター(4・5F)との併設で、隣接するおとしより健康センターとともに、コミュニティーづくりの拠点として期待されている。島之内図書館の開館により、24区全区に図書館が設置された。
    22,000冊の蔵書でオープンし、貸出を中心とした地域に根ざしたサービスに加えて、地域特性、勤労者層のニーズに応える“ビジネス書コーナー”を設け活用されている。また、初めてビデオソフトの貸出を開始し大変盛況である。

【1区1館の図書館整備達成】

  • 昭和46年より全市域へのサービスを実施するため行ってきた地域館整備は、島之内図書館の開設をもって市内24の全区に図書館の配置をみることになった。
    これによって、本市の図書館システムは、中央図書館、地域図書館23館、自動車文庫車2台で構成され、それらが図書の集中整理体制、総合書名目録の編成、システム車の運行によって有機的に機能して、一自治体の図書館システムとしては、わが国最大規模のものにまで成長したことになる。
    各区の図書館の開設は以下の通りである。 (1)中央(S36.11.1)  (2)平野(元・東住吉)(S47.7.1)  (3)西淀川(S47.7.14)  (4)城東(S.48.7.13) (5)旭(S50.4.22)  (6)阿倍野(S50.10.21)  (7)東成(S51.6.1)  (8)鶴見(S51.12.15)  (9)住之江(S52.11.1)  (10)此花(S52.11.1)  (11)都島(S53.7.5)  (12)東住吉(S54.1.17)  (13)東淀川(S55.4.23)  (14)生野(S56.5.20)  (15)港(S57.5.7)  (16)住吉(S57.10.7)  (17)淀川(S58.10.21)  (18)浪速(S59.4.25)  (19)北(元大淀)(S59.8.21)  (20)西成(S60.3.15)○天王寺(S60.4.13)○大正(S61.5.7)○福島(S62.5.26)○島之内(H1.9.19)

    →1区1館を達成し、続いて新中央図書館の建設、地域館の拡充、図書館電算化の検討推進にとりくんでいくこととなる。

【地域館における5万冊構想事業】

  • 3万冊規模の蔵書で運営してきた図書館にとって、図書館の生命ともいうべき蔵書の充実を図ることは積年の課題であった。それが、「5万冊構想事業」として実現した。蔵書数を平成元年度から3ヵ年計画で5万冊に引き上げ、あわせて蔵書の質の向上を計る画期的な事業である。
    経常図書費の倍以上の図書費は、電算化導入計画との関連から従来の書店見計らいに始まる一連作業とは全く異なる方法で執行された。5万冊事業は取次による直接見計らい搬入、民間の図書整理会社による委託整理へと市立図書館にとって初めて体験する新しい流れとして実施された。

【「大阪市図書館基本計画基本構想に関する答申」策定】(9月)

  • 昭和63年12月に発足した、大阪市図書館計画基本構想委員会は、21世紀をめざした大阪市立図書館システムについて、教育長より、「生涯学習の基盤施設としての大阪市立図書館の中核である中央図書館のあり方」「市立図書館のコンピュータシステム化とニューメディア活用の検討」「他の図書館とのネットワークのあり方」の3点について諮問されるとともに、地域図書館の充実についても意見を求められた。答申は平成元年9月21日に提出され、次のような基本的な考えが示されている。

    ●西日本の中枢都市である大阪市としては、政令指定都市として最大規模の蔵書を有すること。
    ●本市24図書館をオンラインで結ぶコンピュータシステムを含む、図書館のインテリジェント化をはかること。
    ●人と人、人と本との出合いの場となるヒューマンライブラリーとでもいえる図書館像を創造すること。

【大阪市立図書館トータル・イメージ・マーク決定】(12月)

OMLIN(オムリン)
  • 平成元年12月1日から正式に採用されたこのマークは、OSAKA MUNICIPAL LIBRARYの頭文字OMLをデザイン化したもので、知的で親しみを感じさせる作品である。市民に市立図書館をより親しみのある存在としてイメージしてもらえること、市立図書館が一体として動いていることをアピールしたいなどの理由でマークを作ることになった。このマークを各種刊行物やPR用チラシなどの図書館印刷物に、また、図書館の標識など広報活動全般に、せいぜい活用していきたい。

    →このマークはオムリンの愛称で親しまれ、さまざまなバージョンも生まれて現在も大活躍している。
 

平成2年(1990)


【CD貸出事業開始】(5月)

  • 5月26日、待望のCDの貸出が始まった。天王寺図書館は、昭和60年4月に移転、開館して以来、カセットテープの収集、貸出を行ってきた。ところが、近年、CDプレーヤーの急速な普及に伴い、CDでしか発売されないものも多くなりクラシックやポピュラー音楽をはじめ、それぞれの分野での基本コレクションを作るための収集に支障をきたすようになってきた。このためCDの収集・提供はここ数年来の検討課題であった。クラシック189枚、ポピュラー502枚で始まったCDの貸出であるが、数日間で、そのほとんどが貸し出され、中学生や高校生を中心に、児童からお年寄りまで幅広い層に利用されている。お目当てのCDは、予約をしないと借りられないため、予約も大変多い。
 

平成3年(1991)


【地域図書館電算化テスト稼動開始】(2月)

  • 平成2年度は「図書館システムコンピュータ化事業」として初めて予算計上がなされ永年に亘る検討内容の具体化にむけ大きな一歩を踏み出した。

  • テスト稼動については、平成2年8月より中央に開発用機器を搬入、テスト館には11月よりシステムを導入した<端末はK150>。この間テスト館では遡及入力によるマークデータの検収作業を行うとともに11月からオフラインパソコンでの利用者の個人情報入力作業を開始した。稼動前には、3週間程度の休館期間を設け、閲覧基本システムの研修・操作実習の他、機械処理移行のための各種準備作業を行った。テスト稼動は、(1)島之内 平成3年2月26日、(2)浪速 3月14日 (3)東淀川図書館 3月22日に開始した。整理課については、新刊の選定準備作業を平成3年2月より順次機械処理に移行し4月の新年度購入分から機械による発注・受入、OMLマークの作成(整理)業務を行うこととしている。

  • 今年度稼動したシステムは私たちのめざす本稼動システムからみれば小さな部分にすぎないが、10年来の机上の検討から今後は実際に業務として運用している具体システムを俎上の検討ができることとなり、その意味で平成2年度は図書館システムコンピュータ化事業にとって大変大きな一歩を踏み出した年といえよう。
 

平成4年(1992)


【中央図書館、旧電気科学館(四ツ橋)に仮移転・開館】(6月)

  • 中央図書館の移転先が四ツ橋の旧電気科学館に決まり、平成3年11月から改修工事に着手した。旧電気科学館は昭和12年に竣工して以来約55年間を経過し、また図書館とは用途が異なるうえに、約2年間使用していなかたため設備等も老朽化が進んでおり、改修箇所は非常に膨大なものとなった。また、旧電気科学館に収蔵しきれない図書資料等の保管場所を外部に捜し、中央区の旧桃園小学校を外部書庫として借りることに決まった。外部書庫への移転は大作業となり、17万冊余の閲覧用図書、6800箱につめられた出納凍結図書・未整理図書、600連余に及ぶ組み立て型書架、700包にくるまれた新聞原紙等、100点を越える備品類(地図ケース等)が外部書庫へ搬送され、収めるべきところへ収められたのであった。
    中央図書館は5月11日から8月31日まで移転のための休館をした後、旧電気科学館において9月1日、1階・2階に開架閲覧室、6階(旧プラネタリウム跡)に書庫を配置して仮移転開館した。

    →平成8年2月末まで中央図書館が仮移転営業した旧電気科学館は、その後平成10年に解体され、現在はホワイトドームプラザというホテルなどの入ったビルになっている。
 

平成5年(1993)


【新中央図書館建設工事開始】(1月)

  • 平成4年5月10日をもって旧中央図書館が閉館し、30年にわたる歴史を閉じた。8月に入ると解体工事が始まり、何十万冊もの蔵書を支えていた鉄骨が機械にかかるとひとたまりもなく鉄屑になっていく。玄関前のサルスベリ等の樹木の落ち着き先も見つかり、それぞれ移植されていった。建設に携わる会社は、戸田建設,佐藤工業、銭高組の3社が共同企業体を組織することとなった。建設着工の1月27日、企業体は工事の安全を祈願し、地盤改良工事・地中障害物撤去・山留め工事と続いていく。

【小学校の図書館見学増加】

  • 前年度から、図書館見学にやってくる小学生が増えている。これは、小学校の教科書改訂により3年生の社会科の最初の単元に、公共施設見学として図書館が紹介されたことが大きい。今年度も4月から7月にかけて、昨年を上回る124校、約9、600人の児童が、見学のために図書館を訪れている。図書館側としても、子どもたちに図書館を知ってもらう絶好の機会なので、短時間でも効果的な見学内容にしたいと工夫をこらしてきた。
  • まず、図書館利用案内のための紙芝居「ぐりとぐらのとしょかん」を作成した。よく知られた絵本の主人公を使ったものでわかりやすく楽しいと好評である。さらに、大阪市立図書館全体の機能を、小学生にもわかりやすく説明したいと、図書館案内のスライド「みんなに図書館を-大阪市の図書館-小学生版」を作成した。

【地域館休館日変更(第2・第4火曜追加)】(7月)
【開館時間変更(平日10:30、土日10:00)】
【貸出冊数上限変更(8冊)】

  • これまで10時45分としていた地域図書館の開館時館を、火曜日~金曜日は10時30分、土曜日・日曜日は10時に変更した。また、新たに第2・第4火曜日を休館日として設定した。同時に、個人貸出冊数の増減を4冊から8冊に引き上げた。視聴覚事業では、6館が新たにビデオの貸出を開始し、12館がビデオを所蔵することになった。また、ビデオをより有効に活用するため、貸出期間を既設館を含め15日間から8日間に短縮した。

    →ビデオの貸出期間については、平成8年新中央図書館開館に伴い15日間に統一した。
 

平成6年(1994)


【蔵書のデータ遡及作業】

  • 汎用機の稼動により、全蔵書の書誌データが一括管理できる状況になったのに伴い、旧蔵書のデータを変換していくことになった。ついては、コンピュータによる自動変換を基本に、(1)旧蔵書の書誌データについては、基本分類(旧来の本分類をやや細分化した分類)を付加する。(2)旧蔵書の所蔵データを新中央図書館におけるロケーション及び請求記号に変更する。(3)変更した所蔵データに基づき、新中央図書館用ラベルを出力することとした。
  • データ作業は、まず旧分類表から基本分類への変換テーブルを作成、機械変換処理で基本分類を付与した。また、市販マークヒット分については、付与されているNDC8版分類から基本分類を自動付与した。旧請求記号で逐次刊行物番号と叢書番号が存在する資料については、新たにセット書誌(その逐刊・叢書の基となる書誌)の自動生成を行った。郷土資料については、新郷土地理区分表ができたのに伴い、旧郷土地理区分表から新区分表への変換テーブルを作成し、機械変換処理を行った。こうした作業のあと、新中央図書館仕様の請求記号ラベル約52万件が出力された。

【中央図書館移転に伴う外部書庫出納】

  • 平成4年9月、仮移転四ツ橋開館に伴い、旧桃園小学校を外部書庫として使用するための移転作業を行った。2階、3階の教室及び講堂を使用することとなり、老朽化のため施設の傷みがいくつか見受けられたが、種々手当てをし、無事出納作業を行っている。
  • 移転した資料のうち約17万冊の図書、および郷土関係の製本雑誌を対象として、週2日、火曜日・木曜日の午後に出納作業を行っている。職員が現地へ直接赴き、午後3時過ぎに到着する南コースのシステム車で図書と共に帰館し、予約図書など1回あたり約100冊程度の出納を行った。老朽化した施設であったが、平成7年1月の阪神・淡路大震災では書架の一部が転倒したのみで被害は少なく幸いであった。2年半に及び外部書庫出納は平成7年5月末をもって停止することとなった。
 

平成7年(1995)


【地域館オンラインシステムテスト稼動完了】

  • 3月29日、浪速図書館のオンラインテスト稼働をかわきりに中央図書館の汎用機と順次接続され、8年3月23日の此花図書館を最後に地域図書館のオンライン化が完了した。オンラインシステムは資料の予約検索と相互貸借に力を発揮し、従来とは比較にならないくらい早く、市民に市民に資料提供できるようになり、市民サービスの向上が図られた。
 

平成8年(1996)


【新中央図書館開館】(7月)

  • 7月2日、新中央図書館がオープンした。新中央図書館は、現地建替として平成4年12月建設に着手し、建物は約3年の工事期間を経て平成8年1月に完成し、屋外工事は3月に完成した。2月以降は、各分野毎に仮移転先の旧電気科学館から順次移転卿作業をはじめ、新館の7月オープンに向けて精力的に開設準備業務を進めた。6月26日に完成記念式典を挙行し、7月2日から供用が開始された。初日の入館者は10,632人、資料の貸出は12,664冊であり、大阪市の図書館では初めて1日1万の大台を突破し、新しい歴史をつくると同時に、これからの利用の推移を予測させるに充分なスタートであった。貸出登録者は2,652人であり、22日目には早くも旧館の最終年度(平成3年度)1年間の登録者数(19,304人)を越えた。AV資料は人気が高く、ビデオの書架はほとんど空の状態が続いた。また、電話による調査相談も多く、3台の専用電話機はほとんどふさがっている状態が続いた。また、マスコミの報道もあって市民の関心も高まり、各種団体から施設見学が連日引きも切らず続いた。

【全館オンライン化による図書館情報ネットワークシステム稼動】

  • 7月2日、中央図書館開館と同時に大阪市立図書館情報ネットワークシステム第1期が本稼動した。平成2年度から、大阪市立図書館'情報ネットワークシステム事業計画に基づき開発をすすめてきたが、『大阪市情報化計画(中長期計画)」の情報提供系システムの嚆矢として稼動する運びとなった。市立図書館全24館をオンラインで結び、その蔵書(図書230万冊他)の全てがデータベース化されていることにより、どこの図書館からも所蔵情報や所在状況が即時に検索可能となった。このシステムは、わが国公共図書館で最大規模の図書館情報ネットワークシステムとして、また今後ますます進展する情報化社会における公共図書館の今日時点での到達点と将来を展望するものとして、各方面から注目を集めている。
 

平成10年(1998)


【東淀川図書館開館(移転建替)】(3月)

  • 3月7日(土)午前10時、移転建替を行った東淀川図書館がオープンした。開館時間前から、玄関ホールは多くの利用者であふれ、開館後も次々とやってくる人々で1日中賑わい、貸出カウンターは長蛇の列となった。閲覧室の面積が従来の1.2倍になってゆとりある読書空間が生まれ、図書、雑誌、新聞、ビデオテープを充実させ、またCD-ROMの閲覧・検索やCDの貸出など新規のサービスもあり、利用者にはそれぞれに、生まれかわった図書館を実感していただけたようであった。中でも人気があったのは、大阪市立図書館で3館目となるCDの貸出であり、入口近くのAV棚の前は、常時多くの人だかりとなった。また、開館を記念して、立体紙芝居の上演や人形劇団クラルテの公演、音楽ライブなどの行事も行い、会場の多目的室があふれるほどの市民で賑わった。開館初日の入館者数は約3,500人(推定)、貸出冊数は4,583冊であった。

【第1回大阪市図書館フェスティバル開催〔以降毎年開催〕】(10月)

  • 「第1回大阪市図書館フェスティバル」を10月17日(土)から11月7日(土)まで行った。中央図書館で2,132名、地域図書館5館で302名の参加があった。10月17日(土)の「ほんのバザール」を皮切りに、10月24日(土)、25日(日)をメインフェステイバルとし、24日には、市長代理として今川収入役、太田市会議長、渡辺教育委員長職務代理等を迎えてのオープンセレモニー、それに引き続く「講演会」の実施、翌日には「講演会」や「図書館探検隊」、「一日中央図書館長」などを実施した。また、11月7日(土)までの間、地域図書館でも各種の事業を実施した。

【日本図書館協会建築賞受賞】

  • 中央図書館が平成10年度の日本図書館協会建築賞を受賞した。日本図書館協会建築賞は、優れた図書館建築を顕彰し、これを広く世に知らせることによってわが国の図書館建築の水準の向上に寄与することを目的として昭和59(1984)年に設立されている。受賞理由として、建築としての質はもとより、そこで展開されるサービスもよく行われていること。器(建築)と中身(サービス)が調和し、いずれにおいても優れていること。天井までの大きくとられたガラス面、白色を基調とした内装、ブナ材と金属による書架群、利用目的に応じて形や座の色彩を分類し案内’性を高めるように配置された椅子、きめ細かく工夫されたサイン計画など利用者にとってわかりやすく、統一感のある明るく軽快なインテリアとなっていること。AV、障害者サービス、外国資料、大阪コーナーなど特色のあるコーナーを設置し、相当数の読書席を用意していること。50台におよぶ資料検索端末を各階に配置し、新たなサービスの展開に向けての意欲的な試みがみられること。立地の良さに加えて、十分な開架図書数を備え、多様なサービスを提供した結果、多くの市民によく利用される図書館となっていることなどが高く評価された。
 

平成11年(1999)


【学校と公共図書館の連携研究会発足】(2月)

  • 小学3年生による図書館見学も恒例行事となり、さらに図書館を学習支援の場として活用してもらうため、平成11年2月「学校と公共図書館の連携研究会」が発足した。設立趣旨は『これからの教育では、変化の激しい社会にあって、自動・生徒が自分で課題を見つけ、自ら学び、考え、主体的な判断によって行動し、問題を解決する能力を身につけること、また「ゆとり」のなかで豊かな感受性を育み、各自の個性を伸ばすことが求められている。このためにも自動・生徒が読書に親しみ、必要な知識や情報を自分で入手、活用できるような機会を創出することが重要であり、学校及び学校図書館と公共図書館が連携・協力して、子どもたちの「生きる力」を育成する方法を探る』ことである。研究会員の属する学校との連携事例から課題整理を行い、また各区の図書主任会と図書館との連携を深めていくこととした。

【「概説大阪市の歴史」刊行】(3月)

写真:「概説大阪市の歴史」刊行
  • 大阪市史編纂所では、昭和54年に市制施行100周年事業の一環として、「新修大阪市史(本文編)」全10巻の編纂事業に着手し、平成8年3月に完結した。市民のみなさんに大阪市の歴史を身近に感じていただければと、「新修大阪市史」の内容を読みやすく手軽に利用できるものとして、コンパクトに一冊にまとめた『大阪市の歴史』(四六判・約360頁・創元社発行)を編纂し、平成11年3月に刊行した。
 

平成12年(2000)


【旭図書館開館(移転建替)】(1月)

  • 1月15日(土)、区民センター・芸術創造館からなる複合施設の1階にリニューアルオープンした。開館初日は大勢の利用者で館内はあふれ、貸出・返却に並ぶ列が図書館の入口を越えて区民センター方向にまで連なり、貸出冊数は約4500冊、イベント参加数は約300人であった。旧館の2倍以上の広さ、開館時間の延長、資料やサービス内容の拡充、区役所等市民になじみのある施設と近接していること、区西部や都島区方面からもアプローチしやすい立地などが利用のしやすさにつながっている。

【地域読書環境整備事業開始】(6月)

  • 図書館への来館が困難な市民に読書の楽しさを届けることを目的に平成12年度から開始。保育所、幼稚園等に絵本セットを配本し、読書支援活動ボランティアによる読み聞かせなどを行う幼児期読書環境整備事業、高齢者福祉施設に写真集や大活字本などを配本し、読書支援活動ボランティアが本の貸出や紹介、朗読や紙芝居の実演等を行う高齢者読書環境整備事業を2本柱としている。事業の開始年は4区で実施し、順次実施区を増やして平成17年度に全区実施の予定である。読書支援活動ボランティは、養成講座受講後グループとなって、本事業の活動に加え、子育て支援に協力したり、朗読や紙芝居を行う場を増やす等、それぞれの地域で活動を広げている。

    →平成22年度末現在、幼児期は24区317施設で配本33287冊・ボランティア活動524回、高齢者は24区28施設で配本41170冊・ボランティア活動951回を数えている。

【中央図書館休館日変更(月曜→金曜)】(7月)
【文化の日を全館で開館】

  • 7月1日から中央図書館の定例休館日を月曜日から金曜日へ変更した。このことにより、いずれの曜日でも図書館の利用が可能となった。また定例休館日と館内整理日が重なった場合の休館日を月末日のみに固定することにより日曜日、月曜日の連続休館をなくすとともに読書週間期間中である11月3日文化の日を全館で開館することとした。月曜日開館が定着するにつれ、順調に利用も伸び、前年の金曜日を上回る増加となった。従来図書館に来られなかった利用者から利用できるようになったとの喜びの声も聞かれ、地域図書館利用者にも歓迎されている。
 

平成13年(2001)


【図書館情報ネットワークシステム機種更新】(5月)

  • 5月7日、新しい図書館情報ネットワークシステムの全面運用に伴い、新たなサービスの提供を開始した。
    • 図書館ホームページの開設
      インターネットを通じて図書館の情報を提供。蔵書検索や図書館の案内のほか、古文書や古地図のイメージデータを公開した。 
    • 電話による音声応答サービスの開始
      図書館の案内のほか、予約の状態の確認、返却期限の延長が24時間可能になった。
    • 蔵書検索端末(OMLIS)からの予約
      各図書館内のOMLISから利用者が自分で予約づけできるようになった。

【中央入館者のべ1,000万人突破】(9月)

  • 平成8年7月2日の開館以来、延べ入館者数1,000万人を9月13日に達成した。1,000万人めの入館者は、大阪市浪速区在住の母と子(1歳)で、「週に1~2回来ています。」とのこと。栗山中央図書館長より認定証の授与と記念品の贈呈を行い、以後の入館者100名にも記念品を贈呈した。

【平野図書館開館(移転建替)】(10月)

  • 10月16日に竣工式、同月19日にリニューアルオープンした平野図書館の新館は、旧平野郷の町並みをイメージした和風の建物で図書館単独施設である。開館初日、館内はこの日を心待ちにしていた多くの市民であふれ、事務室内の端末も駆使して貸出作業を行ったが貸出を待つ長蛇の列ができるほどの盛況ぶりだった。資料・設備の充実による集客効果や国道に面し、スーパーマーケットに隣接しているという立地のよさもあり、新たな利用者も増えて旧館の2倍近い利用状況である。人形劇やコンサート、講演会などの開館記念事業にも多数の参加を得た。
 

平成14年(2002)


【インターネットによる貸出予約開始】(1月)

5月にホームページを開設したのに引き続き、インターネットによる図書の貸出予約サービスが始まった。図書館所蔵の図書を検索し、そこから予約ができ、取り置きができた段階でメール連絡を受けることもできるサービスである。併せて、自分の予約状況や貸出状況の確認や返却期限の延長ができるシステムのため、セキュリティ対策を強化する必要があり、パスワードおよび暗号カードを発行することとした。個人情報保護審議会の諮問を受け、個人情報の取り扱いおよびセキュリティ対策についての妥当との答申をうけ、1月30日から開始された。


【阿倍野図書館開館(移転建替)】(1月)

阿倍野図書館は、昨年12月2日をもって旧館を閉館し、1月17日にリニューアルオープンした。新図書館は、旧館から北に2km離れた地下鉄、私鉄の各路線が集まる天王寺駅に近いため、新規の利用者が大変多く、開館から3月末までの2ヶ月半で、昨年度(12年度)1年分に相当するほどの登録者数を記録した。また、3ヶ月前に移転立替した平野図書館同様、開館時間延長の試行実施が行われた。


【子ども読書の日記念事業始まる[以降毎年開催]】(4月)

昨年13年12月に制定された「子どもの読書活動の推進に関する法律」により、4月23日が「子ども読書の日」と定められたことにあわせ、大阪市立図書館全館において、その前後に子どもを対象とした読書に関するイベントが実施された。「昔ばなしと昔のあそび」「立体紙芝居」「折り紙教室-くすだまを作ろう」など、各館くふうをこらした催しがあり、好評を博した。


【携帯電話用HP・IT貸出予約開始】(12月)

情報提供系のサービスの機能拡充のひとつとして、12月2日から、携帯電話用ホームページを開設された。大阪市のトップページである「大阪CITY NAVI」をiモード、EZweb、J-SKYの公式サイトにも登録し、関係局とも協力し連携しながらシステム開発は進められた。そして、パソコンと同じく、携帯電話からも図書の貸出予約や貸出状況・予約状況の確認や返却期限の延長できるようになった。

→23年度現在においては、iモード、YAHOO!ケータイ、EZwebで携帯電話用ホームページを利用することができる。


【学校連携増加】

学校で市立図書館をスムーズに活用してもらうために、教師向けの図書館利用の手引書として「図書館利用案内」を作成・配布を行った。学校の団体貸出は、調べ学習のための資料提供によるものが大半を占めるが、朝の10分間読書のための資料貸出も増加している。学校でのおはなし会等には、ボランティアとともに司書も参加し、読み聞かせやストーリーテリング、ブックトークを実施しているが、依頼要請が急増している。職場体験学習も前年度の20校から39校と倍近く増加している。


 

平成15年(2003)


【15年改革】


【司書の業務執行体制の改編】(4月)

6月からの新しい運営体制のもとで、館内・館外のサービスの拡充を図るために、司書の業務執行体制の改変が行われた。地域図書館の開館日数の増加や開館時間の変更に対応し、レファレンス機能の強化を図るため、地域図書館に非常勤嘱託を導入し、地域ブロック毎に運営体制の再編を行った。中央図書館でも司書の調査相談体制の拡充などのための体制の強化をはじめ、市民ニーズに的確に対応した事業計画や館外の施設や各種機関、市民ボランティア等と連携し、計画を推進できるように、サービス企画部門を整備した。


【地域図書館休館日変更(第2・第4火曜を開館)、時間延長(平日10:00~19;00)】(6月)

建替を機に、東淀川・旭・阿倍野・平野の各館で、試行的に平日の開館時間を午前10時から午後7時までに延長していたが、この6月からは残りの地域図書館19館の開館時間についても延長を行った。これにより、すべての地域図書館の開館時間が統一された。同時に、全地域図書館の休館日を変更し、休館していた第2・第4火曜日を開館した結果、年間24日の開館日増となった。それまで「休館日がわかりにくい」という市民の声を聞くことも多かったが、この変更により解消された。また、仕事を持つ人も平日の利用が可能になり、これまで地域図書館を利用しにくかった市民にも利用していただける条件が整ってきた。


【ブックスタート事業開始】(8月)

大阪市では、8月から各区保健福祉センターでの3か月児健診時にブックスタート事業を開始した。絵本『いないいないばあ』とよみきかせアドバイス集、おすすめ絵本リスト、図書館の利用案内、図書館カード申込書などを入れたブックスタートパックを手渡し、集団指導のなかで司書が絵本を通した親子のふれあいについて説明し、待ち時間にボランティアとともに親子に絵本を紹介している。予算措置等、事業主体は健康福祉局であるが、乳幼児親子への読書支援を大きく拡充させる事業として共同で実施している。

→平成22年8月からは、方式を変更し、地域子育て支援実施施設において実施している。

 

平成16年(2004)


【調査相談の機能充実】

中央図書館では、15年改革で改編した業務執行体制を再編成し、閲覧サービス業務における調査相談等の専門的業務に司書職員が専念できるよう体制を強化した。各階の相談カウンターに司書を常時配置してより高度な相談業務に対応できるようにするとともに1階こどもの本コーナーには子ども専用の相談カウンターを設置した。また、地域図書館での調査相談業務を中央図書館でバックアップする体制を整備し、国立国会図書館のレファレンス協同データベース事業に参加してレファレンス事例の共有化と司書のスキルアップを図った。


【本市職員向け調査相談開始】(3月)

大阪市の庁内情報システム(イントラネット)を通じて、メールで調査相談依頼ができる「職員向け調査相談サービス」を開始した。施策立案や市民対応の現場で必要となる各種の調査や情報検索などを、司書の専門性と図書館のリソースを活用して支援することで、図書館としても間接的に市民サービスの向上を図ることができる。利用した職員には好評で、平成16年度中には160件の質問・依頼が寄せられた。

 

平成17年(2005)


【鶴見図書館・西淀川図書館開館 (移転建替)】(5月)

  • 新鶴見図書満は5月10日に区民センター等の複合施設の1階にリニューアルオープンした。また、新西淀川図書館は5月17日に区役所等の複合施設の地下1階にリニューアルオープンした。両館ともに開館初日はこの日を待ちわびた多くの市民であふれ、新たに供用を開始したCDを借りる人も多く、絵本コーナーやブラウジングコーナー等、従来の2倍以上広くなった閲覧室でくつろいで読書を楽しむ市民の姿が見られた。17年度の利用状況は、貸出冊数が1日平均約2,000冊と、旧館の約1.5倍の利用となっている。いずれの館も駅に近く利便性がよいため、対面朗読の利用も増えている。

【中央図書館に「ご意見箱」設置】
【ホームページからの市民のご意見・ご要望の受付開始】(10月)

  • 10月11日よりホームページ、ご意見箱でのご意見・ご要望の受付を開始し、12月8日までの約2ヶ月間で151件のご意見・ご要望を頂戴した。自習者への対応など図書館の管理や運営に対するご意見が多くあったほか、図書館サービスについてのご要望、コンピュータ(情報提供)システム改善の要望、また具体的な苦情など内容は多岐にわたるものであった。
 

平成18年(2006)


【「大阪市子ども読書活動推進計画」策定】(3月)

平成16年に生涯学習部、指導部、教育センター、図書館で策定委員会を設置し策定に向けて検討を続けてきたが、平成17年8月に素案を作成、10月にはパブリックコメントを実施して、その結果を踏まえ18年3月に「大阪市子供読書活動推進計画」を策定した。この推進計画により、本市のすべての子どもが、さまざまな機会と場所において生き生きと読書を楽しむことができるよう、読書環境の整備・充実を図っていくため、図書館が子どもの読書活動の相談・支援センターとしての役割を果たすための取り組みを進めることになった。


【中央で公衆無線LANサービス開始】(3月)

大阪市では、地域情報化の推進を目的に公衆無線LANサービスの提供を推進しており、図書館においても、NTTドコモなどと契約し、談話室及びビジネス書コーナーで公衆無線LANが使用できるようになった。これにより、モバイルパソコンなどからインターネットに接続することが可能となり、図書とあわせての調べものが可能になった。


【中央図書館祝日開館試行開始〔19年4月実施〕】(12月)

平成18年12月23日、19年1月8日、2月11日、3月21日を試行開館した。周知期間が短かったこともあり、通常の土・日曜日と比較すると、貸出冊数では約80%に止まり、次年度からの祝日開館本格実施に向けて、周知等の課題整理が必要とわかった。


【学校図書館支援モデル事業の実施】

教育委員会事務局初等教育担当と共に、地域、図書館、学校の連携により学校図書館の活性化を図るため、支援モデル事業を実施した。全市で24校を実施校とし、PTAを中心とした学校図書館の活性化に協力するボランティアの方々を対象として、市立図書館職員や外部講師による研修会を開催した。図書の整理、ディスプレイの作成等子どもがより読書に親しめるよう環境の整備をしたり、定期的な学校図書館の開室日、開室時間を増やすなどさまざまな取り組みを進めた。

   →平成20年度より学校図書館活性化事業に継続


【調査相談の機能充実 中央図書館「ビジネス調査コーナー」を新設】

中央図書館閲覧室3Fに、多様なビジネス支援情報・専門相談等の知的資源をより有効に活用できるよう「ビジネス調査コーナー」を新設し、利用頻度の高い会社年鑑類、地価関係資料、政府白書など約250冊を集めるとともに、ビジネスに役立つ講座のチラシやパンフレットなども提供することとした。


【「調べかたガイド」の発行】

調べものの利便性の向上のため、テーマ別の「調べかたガイド」を作成し、市民に配布するとともに大阪市立図書館ホームページで同内容の情報を公開した。平成18年度は4テーマで、以降、順次発行テーマを増やしていった。

→平成23年度現在28テーマ発行

 

平成19年(2007)


【図書館情報ネットワークシステム機種更新(高速化・安定化)】
(1月)

平成13年の5月に導入されたサーバ・機器一式の更新を臨時休館を含む年末年始の休館期間に実施し、平成19年1月5日(中央図書館は1月8日)に稼動した。今回の機種更新にあたっては平成13年度システム機能の平行移動を基本としたが、処理の高速化と安定化、操作性の向上を図り、セキュリティー面も重視して再構築を行なった。なお、パソコン通信はインターネットの普及に伴い近年利用が激減しているため平成18年12月末をもって廃止とした。


【知識創造型改革】

「知識創造型図書館」は、「いつでも・どこでも・だれもが課題解決に必要な情報にアクセス可能な、創造都市の知識・情報基盤」となるような未来志向の図書館を目標としている。そのためにこれまでの図書館機能をより充実し、市民の地域や生活での課題解決や心豊かな創造都市大阪を作り出す市民活動を支える知識・情報活動基盤としての機能の高度化を図っている。また、地域・学校と連携し子どもの読書を支援し、明日の大阪を担う創造的人材の育成にも努める。プロジェクトスタートの平成19年度は、以下を重点項目とした。

■商用データベースの拡充

課題解決に必要な情報へのアクセスを拡大するため各種の商用データベースを、大阪市立図書館全館の利用者用の情報検索端末により無料で検索・閲覧できるサービスを開始した。最新のデジタル情報を提供するとともに、ストックする活字資料の効果的な提供も行い、調査相談機能の一層の向上をめざした。

■レファレンス関連図書の充実

これまで高額なために収集できなかった高度に専門的な資料を収集対象とした。また、ビジネスに関連した社会科学分野を重点的に整備した。このことにより、ビジネスに関連した各種の統計情報や業種別の動向情報、専門的なレベルの医療情報や判例情報に関するレファレンスにも十分対応が可能となった。

■調べ学習支援用図書の充実学校が「調べ学習」に図書館資料を活用する件数は年々増加しており、これらの要求に応えるための早い整備が求められている中、平成19年度は各館の蔵書に鑑み効果的な資料収集を行った。また、平成20年度以降は各館ごとに収集するテーマを設定して年次計画的に収集していくこととした。

■窓口等の定型業務の委託
創造的人材を育成する諸施策の展開と市民サービスの拡充を図るため、本務職員の定数を見直し、貸出等定型業務の民間委託を行った。平成19年度は中央、鶴見、東住吉、西成の4館で実施。平成21年度までに全館で実施する計画とした。

■中央図書館祝日開館の実施

中央図書館で15日間の祝日開館を実施、地域図書館全館でも平成20年度までに全館で祝日開館を実施する計画とした。祝日には新規の来館者も多く利用実態から広範な市民ニーズがうかがえた。


【「大阪市子どもの読書活動推進連絡会設置要綱」制定】(7月)

  • 平成19年2、3月に各区で「区子どもの読書活動推進連絡会」(準備会)、3月に中央図書館で「大阪市子どもの読書活動推進連絡会」(準備会)を開催し、7月に「大阪市子どもの読書活動推進連絡会設置要綱」を制定した。区の連絡会では、各区の図書館を事務局とし、読書支援活動ボランティア、子育て支援施設、保健福祉センター、区役所生涯学習担当職員、小学校教員等により連絡会を開催し区内で行なわれている子どもへの読書支援活動について情報交換した。また、各区の連絡会の代表者、生涯学習推進員協議会、学識経験者の参加を得て、「大阪市子どもの読書活動推進連絡会」を開催した。

    →以降、毎年区の連絡会、大阪市連絡会開催
 

平成20年(2008)

 

【住吉図書館開館(移転建替)[祝日開館試行]】(1月)

  • 住吉図書館は、平成20年1月5日、区役所・区民センター・水道局サービスステーションからなる複合施設の北側部分、図書館棟1階にリニューアルオープンした。また合わせて祝日開館を試行実施した。あらたに供用されたDVDやCDも喜ばれ、平成20年1月から3月までの利用状況は、貸出冊数が一日平均約2700冊と、旧館の約1.8倍となった。

    →現在も年間貸出冊数は地域館で最も多く(平成22年度1日平均2618冊)、多くの市民に利用されている。

【中央図書館DVD提供開始】(2月)

  • ビデオソフトの流通が減少し、DVDに置き換わっている状況を踏まえて、DVDの収集・提供を開始した。住吉図書館では新館オープン時から、2月26日からは全館で提供を始めた。

【中央「元気塾」】

  • 知識創造型図書館改革プロジェクトの一環として、「元気塾」と題したビジネス関係の連続講座を開始した。講演会「分かりやすく伝える技術」をはじめ、大阪ビジネス講座「つぶしてたまるか!-奮闘する大阪の中小企業-」ほか3回、ビジネス支援セミナー「人間関係が良くなるコミュニケーション術」ほか3回、いずれも好評であった。

    →現在も継続しており、平成20・21年度は産業創造館とのタイアップで、起業支援をテーマに実施し非常に盛況であった。また、平成22年度は就業支援・キャリアアップなどにテーマの幅を広げたり、商用データベース講座を盛り込んだりと切り口を変えて開催した。

【市大学情センターと相互協力に関する覚書調印】(3月)

  • 大阪市立学術情報総合センターとの相互協力事業に関わり、相互貸借を11月より試行実施した上で、20年3月27日に覚書調印し、4月1日からの本格実施に向けて合意した。

【地域図書館祝日開館実施】(4月)

  • 平成19年度の中央図書館祝日開館に続き、地域館全館でも同様に祝日開館を行い、年間開館日数は平均で前年度比15日増となった。ほぼ土・日曜日に近い利用状況であり、子ども連れの家族、ゆっくりと調べものをする社会人や学生など幅広い層に利用されており、社会的な休日の図書館利用への市民ニーズの高さがうかがえる。

【地域館さらに9館窓口業務委託】

  • 平成20年度より西ブロック(西淀川・福島・此花・港・大正)の5館、北ブロック(東淀川・北・島之内・淀川)の4館で、貸出カウンター等定型業務の民間業者への委託を実施した。

    →平成21年度より、残り3ブロックも含め、地域館全23館での窓口業務委託を実施した。定型業務を委託したことで、各館2名の本務職員は、調査相談機能の高度化や、各区の子どもの読書活動推進委員会事務局をはじめとする地域の読書環境整備事業の充実を図ることができている。

【搬送システム業務・自動車文庫運転業務の委託】

  • 平成20年度より、市立図書館間の相互貸借資料の搬送や信書及び事業用物品等の逓送業務ならびに、自動車文庫等の運転業務の民間業者への委託を開始した。それとともに、自動車文庫のステーション数の拡充など、サービスの一層の向上を図った。

    →自動車文庫のステーション数は平成23年4月で105カ所となった。
 

平成21年(2009)

【「図書館の相互利用に関する協定」隣接5市と締結(門真・大東・東大阪・松原・堺)】(3月)

  • 平成21年3月に、門真市、大東市、東大阪市、松原市、堺市の5つの隣接市と、図書館の相互利用に関する協定を締結。これにより、大阪市民は、平成21年4月から、隣接5市の図書館で図書等の貸出サービスを利用することが可能となった。

【Eメールでのレファレンス開始(大阪関係のみ)】(3月)

  • 3月より、郷土関係の主題に限定したメールによるレファレンスサービスを開始し、順調に利用を伸ばしている。

【中央図書館開館日38日拡大(休館日毎週金曜⇒
第1木、月末⇒第3木曜)】(4月)

  • 図書館利用に関わるさらなるアクセスの機会均等を目指し、平成21年4月より、中央図書館の定例休館日を毎週金曜日から毎月第1木曜日に、中央図書館を含む大阪市立全館の館内整理休館日を、毎月末日から毎月第3木曜日に変更した。これにより、中央図書館の年間開館日数は、前年度比38日の大幅増となり、平成19年度より実施している祝日開館とともに、年間来館者数、登録者数、貸出冊数、調査相談件数等を伸ばす契機となった。

【One Book One Osaka事業開始】(7月)

  • 平成22年の「国民読書年」に向けて、市民のみなさんの投票により「大阪市の1冊の絵本」を決定するOne Book One OSAKA事業を開始した。平成21年7月より平成22年「2月末までを投票期間とし、図書館をはじめ区役所や小学校、子ども・子育てプラザ等子育て支援施設等に投票箱や投票用紙を設置し、8,466票の投票数を得た。

【Library of the Year 2009受賞】(11月)

  • 「知識創造型図書館改革プロジェクト」を開始し、商用データベースの拡充、レファレンス関連図書の充実、調べ学習支援用図書の充実など未来志向の図書館を目指している点、特に導入データベース数も多くサイトライセンスの取得により、中央図書館だけでなく地域館23館すべての多機能OMLISで簡単に利用できるようにするなど、ハイブリッド型図書館のモデルとなり得る点が評価された。Library of the YearとはIRI(NPO法人「知的資源イニシアティブ」)が図書館など全国の知的情報資源に関わる機関を対象として授与する賞で、平成18(2006)年に始まり、平成21(2009)年は、第一次選考に残った18施設・団体・サービスの中から、3機関が優秀賞に選ばれ、その中から大阪市立中央図書館が大賞に選ばれた。
 

平成22年(2010)


【第1回One Book One Osaka 「はらぺこあおむし」発表】(4月)

  • 市民ボランティアや公募した子どもを中心とした運営委員会で、『はらぺこあおむし』を第1回の「大阪市の1冊の絵本」に決定した。 平成22年の子ども読書の日(4月23日)に中央図書館において開催した「One Book One OSAKA 2010発表会」では、平松市長から結果発表と絵本の読み聞かせが実演された。市民ボランティアの運営委員長からは『はらぺこあおむし』や著者のエリック・カールについてのブックトークも披露された。 また、平成22年度は「はらぺこあおむし」関連イベントを市内全区で実施し、様々な機会に投票された用紙の展示を行った。

    →平成22年度の第2回One Book One Osakaは、シリーズでの得票がトップである『ぐりとぐら』が選ばれた。平成23年度もひきつづき投票を実施している。

【地域図書館の学校夏期休業期間中の月曜開館】(7月)

  • 子どもの心と創造力をはぐくむ読書活動を効果的に推進するために、新たに子どもの利用が多い7・8月の夏期休業期間中(7月21日~8月31日) の月曜定例休館日について、地域図書館23館で10時~17時までの開館を試行した。8月の貸出冊数の前年度比は4%増、新規登録者は7%増となった。

【知識創造型改革が大阪市ベストプラクティス事業に】

  • 「知識創造型図書館改革プロジェクト」が、平成22年度大阪市のベストプラクティス事業に選ばれた。定型業務の民間委託など効率的な運営体制を構築し、コストを抑制するとともに、28種の商用データベースの無料提供など調査相談機能・情報サービスの高度化、開館日拡大等による利便性向上、市民協働による子どもの読書活動の推進などサービスの向上を進めている点が評価された。
 

平成23年(2011)


【東成建替開館】(1月)

  • 東成図書館は、平成23年1月4日、東成区民センター、交通局市バス東成車庫などからなる複合施設の8階に移転リニューアルオープンした。開館初日は、複合施設の区民センターが見学日として全館開放されたこともあり、2,000名を越す大勢の方が来館された。広く眺望に恵まれた空間、表紙を並べて手に取りやすくなった絵本コーナー、大人向きの本を増やしたハングルコーナーなどが好評である。1月から3月にかけて、ほぼ毎週行った開館記念行事では、子ども向けのおはなし会などに加えてパソコンを利用した商用データベース活用講座も行い、定員を超える参加があった。

【「図書館の相互利用に関する協定」守口市と締結】(3月)

  • 大阪市は守口市と図書館の相互利用による協定を締結した。これにより、大阪市民はすでに協定を締結している門真市・大東市・東大阪市・松原市・堺市ならびに行政協定を締結している八尾市とを合わせ、7市の隣接市の図書館で貸出サービスを利用できることとなった。

【『播磨椙原』自筆本、中央図書館へ寄贈】(5月)

  • 江戸時代の浮世草子作者で大坂出身の「都の錦」の自筆による、後の「忠臣蔵」ものの元とも言われる『播磨椙原』(はりますぎはら)が300年ぶりに大阪で発見され、23年5月、縁のある大阪市立中央図書館に寄贈された。

【東日本大震災復興支援チャリティイベントを開催】(5月)

  • 東日本大震災復興支援のために、中央図書館では、平成23年5月に「みんなに笑顔を!紙芝居」「絵本で元気を!‐こんなとき絵本でなにができるやろか、いやできると信じて 子どもたちに関西から絵本で元気を届けよう」の2回のチャリティイベントを開催した。皆様から頂戴した募金等収益は、全て被災地の復興のため、日本赤十字社を通じて寄付した。

【知識創造型改革の検証】

  • 平成23年7月、大阪市立図書館HPに、『大阪市立図書館のサービス展開 -知識創造型図書館をめざして-』を公開し、平成18年度から平成22年度までの改革の取り組みについて報告した。効率的な運営体制の確立(職員定数34%減、窓口等定型業務民間委託、逓送業務・自動車文庫運転業務民間委託)により、開館日拡大(中央274日→324日、地域館280日→300日)、自動車文庫のステーション増(68か所→105か所)などを実現した。市民協働による地域読書活動推進では、読書活動支援ボランティアが2500人を数える。また、課題解決型の調査相談機能充実を図った商用データベースのアクセス数は12万件を越えた。

    →この改革についての検証を有識者からの意見も頂戴し、概ね目標値に達していることを確認して24年7月に検証結果を公表した。平成24年度より、「いつでも、どこでも、だれもが、課題解決に必要な情報にアクセス可能な“知識創造型図書館”」を基盤として、更なる発展と再構築を目標とした取組を進め、単年度ごとに目標を設定し振り返るというサイクルで自己評価を行っている。


大阪市立図書館開館90周年・中央図書館開館50周年】

  • 大阪市立図書館は、1921(大正10)年に阿波座図書館・西野田図書館が開館して以来、2011(平成23)年で90周年を迎えた。また、2011年は、中央図書館が北堀江に開館して以来50周年、さらに中央図書館が建替オープンして15周年の節目の年であった。当館ではこれを記念し、記念企画展示、記念講演会、記念企画ブックリスト作成など、さまざまな催しを実施した。
 

平成24年(2012)

【図書館地区別研修(近畿地区)の開催】(1月)

文部科学省の委託事業として、平成24年1月17日から20日の4日間の日程で近畿地区の図書館地区別研修を実施した。
研修内容及び講師陣については、今日的な図書館の状況を盛り込み、事前課題を設けた講座も設定するなど多様な研修となるよう計画し、実施については、計画立案から講師交渉、事業実施まで全館体制で取り組み、近畿地区全域から213名(講座参加延548名)が受講した。

【電子書籍サービスの開始】(1月)

平成24年1月20日より電子書籍の提供を開始した。学術書・専門書を中心としたコンテンツが、知識創造型図書館をめざす当館の方針に合致すること、コンテンツ買い切り方式で、毎年のシステムの維持費が不要であることなどから、日本国内の大学・研究団体や海外でも実績のある「eBook Collection (EBSCOhost)」を採用した。通読を必要としない参考資料が中心のコンテンツであるため、先行館が採用した貸出方式とは異なる、同時アクセス制御方式を採用した。長期間コンテンツを専有されることがなく、より多くの人に電子書籍にアクセスしていただくことができる。


【大阪府中部6市との相互利用を開始】(4月)

平成24年4月に中部6市(柏原市、藤井寺市、羽曳野市、富田林市、大阪狭山市、河内長野市)と図書館の相互利用に関する協定を締結し、同年7月から利用を開始した。

【書評漫才(SBR)グランプリ】(12月)

中央図書館ヤングコーナーでは、ヤング層(13~19歳)の図書館利用を促進することを目的とした「書評漫才(SBR)グランプリin Osaka」を開催した。ビブリオバトルをアレンジし、コンビでかけあいをしながらお勧め本の紹介を競い合うものとして企画した。初代グランプリには「ぼくたちと駐在さんの700日戦争(1)」を紹介した、東住吉高校のコンビ「NOM(エヌオーエム)」が選ばれた。


 

平成25年(2013)

【第2次大阪市子ども読書活動推進計画】(3月)

大阪市では、平成18年3月に「大阪市子ども読書活動推進計画」を策定し、18年度からおおむね5年間を計画期間として、本市のすべての子どもがあらゆる場所と機会において生き生きと読書を楽しむことができるよう、学校・家庭・地域・図書館が連携して、子どもの読書環境の整備・充実や、子どもの読書活動に関する普及・啓発を図ってきた。
第1次計画から6年が経過し、その間の様々な取組みの成果と課題を踏まえ、今後子どもの自主的な読書活動を一層推進するため、25年3月に「第2次大阪市子ども読書活動推進計画」を策定した。


【「アメリカンシェルフ」プロジェクト調印】(4月)

4月に駐大阪・神戸米国総領事館関西アメリカンセンターが実施する「アメリカンシェルフ」プロジェクトに、中央図書館が近畿で2番目の提携先として選出され、覚書を締結した。これにともない、記念講演会やパネル展示、米国留学講座を共催で実施した。


【第4回One Book One OSAKA投票開始】(7月)

「大阪の一冊の絵本」を選ぶOne Book One OSAKA事業については、24年度に実行委員会が立ち上げられ、25年度は企業からの協賛金をもとに第4回目の投票を実施することができた。ボランティアにより投票啓発イベントの開催や開票作業もすすめられ、投票数は9,004票となり、第4回One Bookには『100かいだてのいえ』が選ばれた。

 

平成26年(2014)

【図書館情報ネットワークシステムの更新】

図書館情報ネットワークシステムは、平成元年より開発に着手し、8年の新中央図書館開館と同時に全館オンラインシステムを本稼動させ、13年にはオープンシステムへと再構築し、順次ホームページの開設やインターネット予約等情報提供系機能を拡充してきた。18年度の機種更新時には、システムについては平行移行を基本として、サーバやネットワーク回線を増強し、高速化、安定化を図った。
25年度のシステム更新は、13年の再構築システムから実に12年ぶりとなるものであり、図書館内外の情報を多面的に検索できる次世代OPACを目指し、メールマガジンの配信・音楽配信サービス提供を開始するなど、主として情報提供系サービスの拡充に努めた。


【「大坂の陣400年」関連イベント開催】

平成26(2014)年は、大坂冬の陣(1614年)開始から400年の節目を迎えるのにちなみ、大阪市内では各種のイベントが開催された。大阪市立図書館では、大阪城天守閣の「大坂の陣400年プロジェクト」に参加し、大坂の陣終結の1615年から400年となる平成27年5月までの間、中央図書館および地域図書館にて継続した関連図書展示等を行うこととした。さらに、例年中央図書館で開催している大阪連続講座のテーマを「乱世の大坂」としたほか、地域図書館15館でも講演会やパネル展示を集中的に開催した。


【夏の子ども向け企画「ためよう!としょかんポイント」実施】

26年1月のシステム更新に伴い、新たに「ポイント機能」が活用できるようになった。この機能を使って、7月18日(金)から8月24日(日)まで、18歳以下を対象として、「ためよう!としょかんポイント」を開催した。来館で1ポイント、貸出1点で1ポイントとして、わくわく楽しみながらポイントを集めて、読書の励みにしてもらえるようにと企画した。1,700人の子どもたちがエントリーし、終了後には、参加者全員に認定証を発行したほか、抽選で30人に図書館グッズをプレゼントした。

→平成28年度からは、開催期間を延長し、大人も子どもも楽しめる内容に変更して実施している。


 

平成27年(2015)

【当館資料の市文化財指定】(3月)

中央図書館および市史編纂所の所蔵資料のうち、中央図書館所蔵の水帳群および『大阪市史』関係の稿本群の2群が27年3月6日付けで、大阪市指定文化財に新たに指定された。


【学校図書館活用支援事業の開始】(4月)

これまで、本市図書館では、調べ学習支援のための団体貸出、学校おはなし会の実施など、学校との連携を拡充してきた。一方、小学校においては学校図書館活性化事業、中学校においては元気アップ地域本部事業の中で学校図書館に関する取り組みが行われてきた。
平成27年度より「学校図書館活用推進事業」を実施し、蔵書の充実や開館回数を増やすなど、魅力ある学校図書館づくりを行うことで、児童生徒の読書活動を推進し、読書意欲の醸成を一層図ることとした。

 

平成28年(2016)

【城東図書館リニューアルオープン】(3月)

地域図書館で初めて現地建替となった城東図書館は、仮移転先での約3年間の開館を終え、平成28年3月14日、区役所・保健福祉センター、区民センター、老人福祉センターからなる城東区複合施設の4階にリニューアルオープンした。これに先立ち、3月5日に竣工記念式典および内覧会を行い、図書館には式典出席者も含め、赤ちゃん連れからお年寄りまで約1,700人が内覧に訪れた。オープン初日については、区役所・保健福祉センターの日程にあわせ、月曜定例休館日を臨時開館した。雨天ではあったが、開館前より利用者が並び、開館後は終日新規登録や貸出等でカウンター前に長蛇の列ができた。初日の入館者数は1,317人、貸出冊数は2,352冊となった。


【思い出のこし 全館実施スタート】

街の人々の思い出を記録として残すプロジェクト「思い出のこし」について、平成24年度に住吉図書館で取組を始め、28年度から全館で実施した。市民から寄せられた「思い出」を手がかりに、今はない場所の愛称など、記録しなければ消えていく多くの地域についての情報を残し、伝えていくことを目的としている。


【中央図書館リニューアル開館20周年事業】

中央図書館は平成28年度にリニューアル開館20周年を迎え、これを記念して様々なイベントや展示を実施した。
6月から7月にかけて、「みなさまとともに20年展」と題して、エントランスホールギャラリーにて、新しい中央図書館が歩んできた20年と大阪市立図書館95年の歴史を振り返る資料展示を行った。また、リニューアル開館日に当たる7月2日には、「図書館でぶんらく」と題して大阪の伝統芸能「文楽」に気軽に親しめるイベントを開催し、国立文楽劇場の協力を得て関連展示も実施した。こどもの本コーナーでは20という数字にちなんで、絵本福袋企画「20ぴき(にん)いる!」を行った。
「図書館をめぐるエピソード」の募集も行い、図書館の思い出や心温まる話、おすすめの図書館活用法など、たくさんのエピソードが幅広い年代の利用者から寄せられた。


【「間重富・間家関係文書」の重要文化財指定】

平成28年3月11日の国の文化審議会において、当館所蔵の「間重富・間家関係文書」を重要文化財指定対象とすることが文部科学大臣に答申され、8月17日に重要文化財の指定を受けた。今回指定された当館所蔵の文書は、間重富・その子重新らの直筆のものや、江戸期を代表する天文学者高橋至時の直筆及び写本で、観測記録の他、重富・至時の往復書簡などを含んでいる。
これらは、昭和4年、間家の縁戚者より市立大阪市民博物館(大正8年開館)へ寄託され、昭和7年の同館廃止に伴い、昭和8年に大阪市立清水谷図書館へ移管、21年には育英図書館、27年には天王寺図書館への移管を経て36年に中央図書館の所蔵となったものが中心である。
図書館ホームページのデジタルアーカイブで公開している。

 

平成29年(2017)

【デジタルアーカイブ画像をオープンデータ化】(3月)

「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」では、当館が所蔵する、大阪に関連する明治・大正期の写真や絵はがき、江戸期の古文書等の画像を公開している。これらのうち著作権の制約を受けないものについて、平成29年3月2日よりオープンデータとしての提供を開始した。本市においては、「大阪市ICT戦略」および「大阪市オープンデータの取り組みに関する指針」に基づいて、行政が保有するデータのオープン化をすすめる方針が示されている。それらに則り、本市の文化資源を活用し地域経済の活性化に資することを目的として、国際的に標準化されたクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにおける、加工も商用利用も許容する「CC-BY」を提供条件として採用し、二次利用の申請を不要とした。


【Wi-Fi24館整備】(3月)

26年度よりすすめてきた公衆無線LAN(Wi-Fi)環境について、29年3月に全24館の整備を完了した。27年3月にWi2 300ゲストコード方式により5館で提供開始し、28年10月には同方式により2館、11月にはOsaka Free Wi-Fi Liteを10館に、29年3月にはFREE SPOTを7館に導入した。


【市役所等への返却ポスト設置】(4月)

図書館以外の施設に図書館返却ポストを設置した。返却ポストは各図書館に設置しているが、図書館から離れた地域の住民や市内在学・在勤者に対し、返却の負担を軽減し、図書館利用の一層の促進を図ったものである。以前から返却ポスト設置の要望があった北区中心部、図書館と区役所との距離が最も離れている平野区での検討、調整を行い、29年3月末に大阪市役所と平野区役所に図書館返却ポストを設置し、29年4月から約1年間の運用の試行を開始した。


【「『大阪市ICT戦略』に沿った図書館の今後のあり方」、同アクションプランの策定 】

平成29年6月に「『大阪市ICT戦略』に沿った図書館の今後のあり方」を策定した。本市においては、28年3月に「大阪市ICT戦略」および「大阪市ICT戦略アクションプラン」が策定され、最先端ICT都市の実現に向けた取り組みを進めている。この本市方針に沿って、ICTを活用した今後の図書館のサービス展開の方向性を位置づけた。31年度を期限に、各サービス展開の目標を示し、達成に向けた具体的なロードマップである「同アクションプラン」も作成した。いずれも8月より当館サイトにて公開している。


【Library of the Year 2017優秀賞受賞】

29年秋に、これまで20年間継続してきた地域資料のデジタル化と公開と今後のビジョンを示したことが評価され、Library of the Year 2017優秀賞を受賞した。市立図書館では21年度に同大賞を受賞しており、別の理由により同一機関が2回も優秀賞を受賞することは同賞史上初である。


 

平成30年(2018)

【平成29年度全国公共図書館研究集会(児童・青少年部門)の開催】

平成30年1月18日、19日の両日、全国公共図書館研究集会(児童・青少年部門)を(公財)日本図書館協会等との共催で開催した。研究主題は「一人ひとりの子どもの読書活動を支援するために-子どもを取り巻く環境・地域と図書館-」とし、全国から200名を超える参加があった。


【第3次大阪市子ども読書活動推進計画の策定】

平成13年に施行された「子どもの読書活動の推進に関する法律」にもとづき、本市では、18年3月に「大阪市子ども読書活動推進計画」、25年3月に「第2次大阪市子ども読書活動推進計画」を策定し、本市のすべての子どもがあらゆる場所と機会において生き生きと読書を楽しむことができるよう、学校・家庭・地域・図書館が連携した取組みを行ってきた。
第2次計画から5年が経過するにあたり、第2次計画および29年3月に改訂した「大阪市教育振興基本計画」に基づいた取組みが必要であることから、この間の様々な取組みの成果と課題を踏まえ、30年3月に「第3次大阪市子ども読書活動推進計画」を策定した。


【「大阪市立図書館蔵書構築のあり方 2018~2020年度」の策定】

資料収集の基本的な指針として「大阪市立図書館資料収集方針」を昭和41年に策定し、時宜に沿って5回にわたって改定してきた。図書館サービスの基盤である情報資源を計画的に収集し、蔵書を将来にわたり維持・発展させていくため、平成28年度より市立図書館の各担当の代表で構成する「蔵書検討会議」において検討を重ね、30年3月に「大阪市立図書館蔵書構築のあり方 2018~2020年度」を策定した。

 

平成31/令和元(2019)

【「総務省ICT地域活性化大賞2019」優秀賞受賞】

平成31年3月に、「オープンデータ化した地域資料の利活用を通じて大阪の魅力を発信」しているとして、総務省ICT地域活性化大賞優秀賞を受賞した。また、「古文書当オープンデータ画像ビジネス等への利活用促進」の取り組みについて評価され、一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(VLED)より、2018年度勝手表彰貢献賞を受賞した。いずれの賞も公共図書館としては初めての受賞である。

【オープンデータ公開及び利活用推進に関する連携協定締結】

大阪市教育委員会は、平成31年3月1日付で、合同会社AMANE(あまね)と「大阪市立図書館デジタルアーカイブオープンデータの公開及び利活用推進に関する連携協定」を締結した。この連携協定に基づき、メタデータの豊富化や、画像の高精細化などを行い、より活用しやすいデータを提供することで利活用の促進を図り、さらなる地域活性化および市民サービスの向上を目指すものである。

【「子供の読書活動優秀実践図書館」文部科学大臣表彰】

大阪市立図書館は「平成30年度子供の読書活動優秀実践図書館」として、文部科学大臣表彰を受けた。文部科学省が、広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高める活動において特色ある優れた実践を行っている学校・図書館・団体及び個人に対し、表彰するもので、17年度には、大阪市立中央図書館として同表彰を受けており、今回で2度目となる。

【「こども版調べかたガイド:各区版」ホームページに公開/配布開始】

「こども版調べかたガイド:各区版『○○区の調べかた』」を、今年度ホームページに公開し、順次、市立小学校などへ配布・案内を行った。24区それぞれに子どもが居住区を学習する時に役立つ項目をとりあげ、デジタルアーカイブの写真等を添えながらわかりやすく説明している。

【大阪市立図書館の目標5年間(平成24~28年度)の検証を踏まえて】

「いつでも、どこでも、だれもが課題解決に必要な情報にアクセス可能な“地域創造型図書館”」を基盤として、平成24~28年度の5年間について、「地域の情報化拠点施策の推進」「子どもの読書相談支援センターとしての機能強化」「学校図書館の活性化支援」「効率的な運営体制の確立」の四つの基本方針に沿った自己評価および「図書館サービスに関わる大阪市主要計画抜粋版2018-2020」を当館ホームページで公開した。

【「中央図書館施設活用構想」策定】

リニューアルオープンから23年から経過し、新たな市民・時代のニーズに対応するため、策定会議を経て、令和元年9月に「大阪市立中央図書館施設活用構想」を策定し、当館ホームページで公開した。構想では、地下1階左閲覧室を中心としたスペースについて整備することとし、整備コンセプトを「Hon+α!(ほな!)」とした。これは「ほんプラスアルファ」、「ほな」、「Happen(何かが起こり)、Open(広がり)、Networking(つながっていく)」という意味を込めている。

【中央図書館のネーミングライツ協定締結】

本市では「市政改革プラン2.0」に基づいて定められた「大阪市広告事業行動指針」のもと、平成28年12月よりネーミングライツパートナーの一斉募集を開始した。令和元年9月に株式会社辰巳商会とネーミングライツ協定を締結し、10月1日より2年間、中央図書館は「辰巳商会中央図書館」を愛称として使用することとした。

【大阪市LINE公式アカウントで「こどものほんだな」をコンテンツ化】

令和元年8月より、子育て情報コンテンツの一つとして、当館が発行する「こどものほんだな」で選んだ図書の書誌情報と紹介文を大阪市LINE公式アカウントに搭載した。これは平成30年3月からオープンデータとして公開している「こどものほんだな」データを活用したものであり、本市「スマートシティ」の取り組みの一つである。

【重要文化財 間重富・間関係文書 修復完了】

平成28年8月に国の重要文化財に指定された「間重富・間関係文書」(中央図書館所蔵)について、平成29年度から3か年をかけ、文化庁の国宝重要文化財等保存整備費等の補助金の交付を受けて修復を実施し、令和元年3月に修復を終えた。

【図書館情報ネットワークシステム機種更新】

平行以降を基本とした機種更新を実施し、OSのバージョンアップ、市民が利用するWebサービスの操作性向上を目的として改修を行った。令和2年1月に稼働を開始した。機種更新に先行し、スマートフォンでの操作性の向上を目的として、令和元年11月に当館ホームページの画面構成をモバイル端末に最適化したものに変更した。
 

令和2(2020)

【新型コロナウイルス禍におけるサービス提供について】

令和2年3月に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、市立図書館全体の臨時休館(令和2年3月2日から5月15日)を余儀なくされた。臨時休館開けは開館時間の縮小や、一部サービスの停止、イベントの中止や定員減などのサービス縮小等のほか、返却本の翌日以降の配架、カウンターへの飛沫防止シートの設置、手洗い・消毒・マスク着用を呼び掛ける掲示や館内放送等感染防止対策を実施した。

【中央図書館地下1階に新たな空間「Hon+α!(ほな!)」オープン】

令和元年度に策定した「中央図書館施設活用構想」のコンセプトを基本方針とし、中央図書館地下1階左閲覧室を国の森林環境譲与税を活用し、国産木材を使用した「Hon+α!(ほな!)」スペースとして改修した。3月6日オープン当日にセレモニー、事業者である共同事業体による参加型ワークショップを行った。また、市内で活躍する企業や個人に自身のライフワーク等をお話いただく夜間イベントも新たに企画し、今後も継続実施予定である。

【イケア・ジャパン株式会社支援による子ども向けスペース改装】

令和元年11月に大阪市立図書館に対し、イケア・ジャパン株式会社IKEA鶴浜からIKEA Family子ども募金プロジェクトの一環として各図書館の子どもの空間づくり支援の申し出があった。ソファ等家具の寄附とともに子どもたちにとって居心地のいい空間になるよう配色やレイアウトを図書館とともに考えるもので、令和2年度は住吉・西淀川・平野・旭・島之内・浪速・東成・生野・住之江・大正・都島各図書館の子どもの本コーナーの改修を行った。令和3年度以降も中央図書館や未着手の地域図書館で順次改装をすすめる予定である。

【第6回図書館レファレンス大賞-図書館振興財団賞受賞-】

新型コロナウイルス禍にあっても、蓄積したノウハウを生かして、地道にレファレンスサービスに取り組み、サービス活用の市民周知に努めていることが高く評価された。臨時休館中にも電話やメールでレファレンスに対応するほか、自宅でも利用できる電子図書館機能のPRを積極的に行った。こうした取り組みにより、2年11月の第6回レファレンス大賞において、公益財団法人図書館振興財団賞を受賞した。

【地域図書館建替整備について】

現港図書館の移設、リニューアルを予定している「(仮称)区画整理記念・交流会館」については、令和2年度に建設工事請負契約を締結した。淀川図書館については、令和2年6月にもと淀川区役所跡地等の開発事業者が決定し、10月には事業の実現と持続的な運営の確保にむけ、基本協定を締結した。