上町台地は、織田作之助の小説「木の都」にも「千日前界隈の見晴らしの利く建物の上から、はるか東の方を、北より順に高津の高台、生玉の高台、夕陽丘の高台と見て行けば、何百年の昔からの静けさをしんと底にたたえる鬱蒼(うっそう)たる緑の色が、(中略)そこにある」と書かれています。
下寺町については、『大阪春秋 通巻114号 特集上町台地の魅力』に南北約2キロにわたって「大蓮寺を先頭に南詰の一心寺(中略)まで、約三十の寺院が一直線に並んでいる」とあります。『わたしたちの町生魂』に掲載のマップ「生魂の町にある寺」でも寺が南北一列に並んでいる様が分かります。
実費病院とは、おそらく高津神社の近くにあった実費診療所大阪支部のことと思われます。実費診療所は、中流層救済のために施しではなく自費でかかれるように診療費を安くした病院で、東京で明治44(1911)年に鈴木梅四郎が創立し、名づけました。その大阪支部が大正3(1914)年に高津神社の西側、南区瓦町4番町にできました。2度の建て替えで少し東に移転し、現在の高津病院(中央区瓦町3丁目)となりました。 (2022.2.5 天王寺図書館)
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