国語辞典/漢和辞典 部分的に読めない言葉に出くわしたときに、文意や字形を参考にしつつ、読めている部分の字を用いた熟語を探します。「この字かな?」と思ってくずし字の辞書を引き直す、という作業を何度か行っていると、「ああ!この字だったかぁ」と分かることがあります。昔の人は、いろんな言葉を使って文章を書いていますね。
地名辞典 地名を正確に解読することは、古文書の内容を理解する上で大切なことです。
古代・中世・近世・近代・現代、それぞれの時代に、地名はしばしば変化していきます。現在大阪市となっている範囲も江戸時代は、大坂市中のほかに4つの郡(東成郡・西成郡・丹北郡・若江郡)からなっていました。
これらの地名辞典には、地名はもとより、その町や村にあったお寺・神社・名所など、地名に関連するさまざまな情報がまとめられていて、大変参考になります。
いわゆる「平成の大合併」によって、地方自治体の合併が進みつつあるため、現在の地名を反映したものではなくなりつつありますが、古文書を読み解く上で、重要な参考資料であることにかわりはありません。
(追記)自治体合併による市町村名の変遷については、詳しく知りたい方は、市町村自治研究会編『全国市町村要覧』(各年度のものがあります。平成17年版=第一法規出版、2005)などをご参照ください。この要覧の巻末部分には、市区郡町村名索引(50音順)や「合併、市・町制施行、名称変更一覧表(昭和40年3月29日~平成17年10月1日)」が載っています。平成17年版には、「平成の大合併」が進行中であることから「旧市町村名索引」もついています。
当時の時代のあらましを知ることのできるような本 例えば、当時の農業について記してある古文書を読もうとされる場合、スーパーで年中豊富な野菜に接している現代の私たちには、どのような野菜がどのような時期にどのように育てられ、どのあたりまで、どのようにして流通していたか、といったことも想像しにくくなっていませんか。
(→例・なにわの伝統野菜って?(大阪府)) 読まれようとしている古文書に書かれた「文字」だけでなく、「内容」を理解しようとする際には、こうした参考資料がお手元にあると便利です。
その際、
『新修大阪市史』などのように各自治体で編纂されている自治体史も地域の歴史を記した文献としていろいろご活用いただけると思います。
古文書の形式について解説された本 時代がさかのぼるにつれ、古文書の様式は現代とは違う点が増えてきます。各時代にどのような文書が作られていたかを含めて、佐藤進一『新版・古文書学入門』(新装版、法政大学出版会、2003年)や石上英一編『歴史と素材』(日本の時代史30、吉川弘文館、2004年)などの本を参考に勉強されてみてはいかがでしょうか。また、宮廷女官など独特の様式を持つ古文書などは、そのための入門書などもあります。
ルーペ 拡大してみると、筆の運びがよく分かると思います。