外国にルーツをもつ子どもの 日本語 支援のために――
「絵本で教えるにほんご」
7月23日(日曜日)、講座「絵本で教えるにほんご」を開催しました。
外国につながる子どもへ絵本を用いて日本語を教える方法について、長年子どもたちに日本語を教えてこられた野呂きくえさんにお話を伺うとともに、参加者がいくつかのグループにわかれ、実際に指導案を考えました。
はじめに、子どもたちと出会ったとき、まず信頼関係を築くことが大事だと野呂さんはお話しされました。一人ひとりに向き合い、表情を見て、寄り添いながら、その子どもに合った方法で教えるのが重要とのことで、絵本のほか、イラストカードを使ったり、楽しく日本語に親しむことができるようなさまざまな工夫を紹介いただきました。
著書の絵本『ランカ にほんにやってきたおんなのこ』(偕成社)も読み聞かせしてくださりました。日本にやってきたランカが同じ小学校の子どもたちと親しんでいく様子が丁寧に描かれており、これまで「これは私のことだ!」と感想を抱いた方が何人もおられるそうです。
会場には『絵本で教えるにほんご』(スリーエーネットワーク)で紹介している絵本を80冊程度展示しました。第二部では、グループにわかれて、これらの絵本を使って45分でどうやって子どもに日本語を教えるかを考えるワークショップを行いました。
グループそれぞれじっくり話しあって、絵本の特徴をとらえながら、子どもに寄り添った案を考えておられました。まとめられた成果物からは、子どもたちに楽しみながら日本語に親しんでほしい、という参加者の想いがあふれ出ていました。
野呂先生、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
以下は本講座の案内です。
絵本は、子どもたちがゆたかな日本語に楽しく出会う、とても魅力的なツールです。
外国につながる子どもへの日本語指導においては 絵本をどのように活用できるでしょうか。
実際に 講師 おすすめの絵本を手にとりながら、みんなで 一緒に 考えてみませんか?
【日時】令和5(2023)年7月23日(日曜日)13時30分から16時(開場 13時)
終了しました【プログラム】
13:30-14:30 講義
14:30-14:40 休憩
14:40-16:00 ワークショップ
(グループに分かれて実際に絵本を選び、日本語指導における活用方法を考える。)
【会場】中央図書館 5階 中会議室
【定員】40人(事前申込先着順)
【申込方法】下記フォームよりお申し込みください。
定員に達しましたので申込受付を終了しました。 【講師】野呂 きくえ さん
- プロフィール
東海大学文学部北欧文学科フィンランド語専攻卒業。フィンランド観光局にて、観光案内やサンタクロースの通訳などをおこなう。その後、日本語教師として、日本学術振興会研究員に日本語を教える。現在は公立の小学校・中学校で、外国につながりのある子どもたちに個別で日本語を指導。子どもたちが楽しく日本語を習得するための副教材開発をおこなっている。
著書に、絵本『ランカ にほんにやってきたおんなのこ』(偕成社)、『絵本で教えるにほんご』(スリーエーネットワーク)。 - 野呂さんからのメッセージ
ちがう国から来たら、慣れない言葉で、ときどき気持ちがうまく伝わらなくて、 悲しくなることもあるでしょう。子どもたちが何度もこの壁にぶつかりながら、 成長していくのを見てきました。 つらいことがあっても、たった一人でもその子のことを気にかける友だちが教室にいたら、それは大きな支えになると思います。
子どもたちがみな、この日本でクラスメイトと一緒に、元気に心も体も大きくなり、明るく平和にすごせるようにと願いながら、日本語指導に力をそそいでいます。
【共催】 NPO 法人おおさかこども多文化センター、大阪市教育委員会 中央図書館、生涯学習担当
<2022年度伊藤忠記念財団助成事業>
当日会場では講師の 野呂さんおすすめの絵本を多数展示しています。
また、中央図書館1階では、関連図書展示『いろんなことばのえほん展』も実施予定です(期間: 7月21日(金曜日)から8月16日(水曜日)まで)。
ちらしは
「絵本で教えるにほんご」(PDF形式, 441KB)をご覧ください。